会場レポート：特別展「国宝　東京国立博物館のすべて」トーハク所蔵の全89件の国宝が全公開に！

東京国立博物館 平成館 エスカレーター前 編集部撮影 東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」が2022年10月18日に開幕。2022年に創立150年を迎えた東京国立博物館（東京・上野）。本展は、その国宝89件全てが一挙に公開されるという、東博の歴史上でも例のない展覧会です。 編集部では開幕前日に開催された報道向け内覧会を取材してきました。展覧会のみどころと合わせご紹介します。 会場風景 名古屋城金鯱（レプリカ） 編集部撮影 動画 https://youtu.be/B4-WtN0DYXk 会場のようす：特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」 第１部 東京国立博物館の国宝 東京国立博物館は1872年（明治5年）、旧湯島聖堂大成殿で開催された博覧会を機に「文部省博物館」として発足したのが始まりです。150年の間に積み重ねられた同館の所蔵品は約12万件にものぼります。本展では、これらの膨大な所蔵品の中から国宝89件すべてを含む名品、さらには明治から令和にいたる150年の歩みを物語る関連資料など、展覧会全体では計150件が展示されることとなります。 会場風景 編集部撮影 現在、国宝に指定されている美術工芸品は全国に902件。東京国立博物館にはその約1割の89件が所蔵されています。この日本最大の国宝コレクションがすべて会期中に公開されるのは、東京国立博物館150年の歴史の中でも初めてのこととなります。 展示風景 編集部撮影 会場風景 編集部撮影 聖徳太子ゆかりの宝器とされ、古代の金工の代表作でもある《国宝 竜首水瓶》。 国宝 竜首水瓶 飛鳥時代・7世紀、東京国立博物館蔵編集部撮影 左手には太刀、右手には弓。背中には矢を入れた奴凧（やっこ）形の靫（ゆき）を背負っています。ここまで完全武装の埴輪はほかに例がないそうで、かなり身分の高い人物がモデルだったということが推定されます。 国宝 埴輪 挂甲の武人群馬県太田市飯塚町出土、古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵編集部撮影 国宝刀剣の間。東京国立博物館が所蔵する刀剣の国宝、全19件をひとつの展示室でまとめて鑑賞できます。展示空間は、刃文や地鉄（じがね）の美をじっくり鑑賞できるようにデザインされています。 会場風景 中央： 国宝 太刀 銘 三条（名物 三日月宗近）、平安時代、10～12世紀 東京国立博物館蔵編集部撮影 源頼光が酒天童子を斬ったという伝説の刀《童子切安鋼》。天下五剣の一つに数えられる名刀です。 国宝 銘 安鋼(名物 童子切安綱)、平安時代、10～12世紀 東京国立博物館蔵編集部撮影 作品保護の観点もとより、国宝・重要文化財の公開期間には制限が設けられています。そのため、国宝89件をすべて公開するためには、前後数年単位での展示計画の調整を要しました。本展は150年目の節目だからこそ開催可能な「奇跡の展覧会」であると言えるでしょう。 会期前後半で展示替え、すべての国宝を網羅するためには？ 本展は８週間の開催期間中に４回の展示替えがあります。２週間のみの展示期間の作品が一部あるものの、会期中の前半と後半の２回を押さえておけば、ほとんどの国宝を網羅することができるそうです。 第２部 東京国立博物館の150年 第2部では、東京国立博物館の歴史を3期に分け、各時代の収蔵品や関連資料などからその歩みが紹介されます。150年前の湯島聖堂博覧会や帝室博物館時代の展示品による再現展示、かつて展示されていたキリン剥製標本の里帰りなどを通して、当時の人々の驚きや感動を追体験することできます。 「帝室博物館」門標 明治36年(1903) 東京国立博物館蔵編集部撮影 鳳輦（ほうれん）。天皇が行幸に際して専用する輿（こし）型の乗り物で、明治天皇が東京（とうけい）への行幸にさして用いられたものです。 鳳輦(ほうれん) 江戸時代19世紀 東京国立博物館蔵 奈良・東大寺法華堂に安置される秘仏の模造。明治時代の東京国立博物館が、展示を充実させるために実施した、模写・模造事業の最初期作例の一つ。 執金剛神像（模造） 竹内久一作明治24年、東京国立博物館蔵編集部撮影 かつて東京国立博物館で所蔵されており、現在は国立科学博物館で保管されている、キリンの剥製。明治40年(1907)にドイツから初めて生きたまま来日した２頭のキリンのうち雄の「ファンジ」。当時は東京帝室博物館の所管であった上野動物園で飼育・公開されました。日本でつくられた大型哺乳類の剥製標本としては現存最古級のもの。 キリン剥製標本明治41年（1908） 国立科学博物館蔵編集部撮影 令和３年に新収蔵の《金剛力士立像》は本展で初お披露目。 金剛力士立像 平安時代・12世紀、東京国立博物館蔵 編集部撮影 リソース 取材ご協力：東京国立博物館さま、同広報事務局さま記事中の動画・画像はすべて報道内覧会にて編集部にて撮影すべて特別に許可を得て掲載しているものとなります。 開催概要 展覧会名：東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」会期：2022年10月18日（火）～12月11日（日）会場：東京国立博物館 平成館※本展は事前予約制です。詳細は公式サイトをご確認ください。※会期中、一部作品の展示替えを行います。 展覧会の公式サイト https://www.tnm.jp/150th/ 東京国立博物館の公式サイト https://www.tnm.jp/ 関連記事 https://m3press.jp/tohaku-mirai-no-hakubutsukan/ https://m3press.jp/kahaku-dokuten/