京都の世界遺産・東寺にて、2021年8月6日(金)より「チームラボ 東寺 光の祭 -TOKIOインカラミ」が開催されています。創建からおよそ1200年、現存する唯一の平安京の遺構である東寺。編集部では開幕前日に行われた報道向け内覧会を京都へ取材、会場のみどころを写真とともにお伝えします。

この日の京都は気温38.5度を記録
この日の京都は焼けるような猛暑で、ホテルへ機材を預けに10分歩いただけで目眩がしてくるレベル。ニュースでは38.5度まで上がったとかで、祇園近辺では「逃げ水」現象も発生したそうです。

せっかくだからということで銀閣寺まで行ってみました。ちなみに金閣寺も銀閣寺も京都駅から市バスで30分くらいで行けます。地下鉄とバスの1日乗車券があればどこにでも行けてしまうのが京都めぐりの魅力ですが、こういう日はさすがに無理はできません…。ピンポイントで銀閣寺だけ見た後、ホテルに戻って機材をなんやかやと準備してから京都駅へ。 ※なお、金閣寺と銀閣寺はほとんど逆方向にありますので念の為。
ということで京都駅から東寺へ向かいます
バス他、京都駅から東寺へはいろいろな行き方がありますが、夕方になって気温も落ち着いてきたので京都の町並みを楽しみつつ徒歩で行くことに。八条口から歩いて15分くらいの大宮通り沿いの東寺・慶賀門へ。

世界遺産・東寺は正式名称を「金光明四天王教王護国寺秘密伝法院」と言い、現代において唯一残る平安京の遺構です。日本一の高さを誇る木造塔、国宝・五重塔があることでも知られています。唐で新しい仏教、密教を学んで帰国した弘法大師空海によって、真言密教の根本道場となった真言宗の総本山でもあります。

日も落ちてきて、いよいよ会場へ。
会場レポート:「チームラボ 東寺 光の祭 -TOKIOインカラミ」
《瓢箪池に浮遊する呼応するランプ》
ここからは会場内のみどころを順不同で紹介していきます。まずはメインビジュアルになっている 《瓢箪池に浮遊する呼応するランプ》。ポスター同様、瓢箪池に浮かぶランプの向こうにはライトアップされた五重塔。
仏の都・京都のランドマークタワーとも言えるこの塔は高さ約55m、木造に建築物としては日本一の高さ。弘法大師空海が唐より持ち帰った仏舎利が納められているといいます。

Glass, LED, Endless, Sound: Hideaki Takahashi © teamLab, courtesy Pace Gallery
編集部撮影
水面に浮かぶランプはそれぞれが自律して浮遊し、人や風に応じて輝きや音色を隣のランプへと次々で伝搬してきます。さらには周辺にある《呼応する木々》や《自立しつつも呼応する生命の森》といった作品にも伝搬は呼応、連続していきます。ランプシェードは、ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)で制作されているそうです。数ある今回の展覧会のハイライトのひとつ。
《金堂の反転無分別》
東寺の本堂である金堂に書かれ続ける書に圧倒されます。チームラボが設立以来書き続けている空間に書く書「空書」です。書の墨跡が持つ、深さや速さ、力の強さのようなものを、新たな解釈で空間に立体的に再構築したもので、平面方向だけでなく3D方向へも書かれています。「書」の概念そのものであり、文字ではありません。また、リアルタイムに生成され続けており、なにかが「書いてある」のではなく「書かれ続けている」というのが正しいでしょう。

teamLab, 2021, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi
編集部撮影
書かれた「空書」は、作品空間の中を全て同一方向に回転していますが、視覚的には左回転も右回転も論理的に同等となるように作られています。よって見る人によって方向は右にも左にも感じられます。
《講堂に咲く増殖する無量の生命》
東寺の中心、つまり密教の中心的建物である講堂。弘法大師の手による立体曼荼羅で有名です。その講堂に、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けられる花々が咲き、散り続けています。今この瞬間の絵は二度と見ることができないそうです。また、人が花々に近くと、花々ははかなく散っていきます。

teamLab, 2021, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi
編集部撮影
《自立しつつも呼応する生命と呼応する木々》
地面に並ぶ光のovoid(卵形体)を人が押すと、光の色が代わり、色ごとの音色を響かせます。それに呼応して、周辺のovoidや木々も同じ色に変化し音色が伝わっていきます。つまり、色が変わるということは自分以外の人がどこかでovoidに触れたことを意味しています。

Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi © teamLab, courtesy Pace Gallery
編集部撮影
《自立しつつも呼応する生命の森》《浮遊する、呼応する球体》
《自立しつつも 呼応する生命の森》は、多数のovoidが密集した作品。この作品もovoidはそれぞれが自律していて、周辺の《呼応する木々》や《浮遊する呼応するランプ》とお互いに呼応します。この作品はかき分けて密集内へ入ることができます。中に入ると光と質量で方向感覚を失い、不思議な気持ちになります。

Sound: Hideaki Takahashi © teamLab, courtesy Pace Gallery
編集部撮影
《浮遊する、呼応する球体》はゆったりと宙に浮き上がっている光の球体の作品。光の球体は、それぞれ自律している。球体は、人が叩いたり、風が吹くと、同じく色を変え音色を響かせます。

Hideaki Takahashi © teamLab, courtesy Pace Gallery
編集部撮影
《具象と抽象 – 八島社と五重塔の狭間》
八島社と五重塔の境界にある作品です。3次元にグリッドを投影することで、木々を平面のレイヤーとして2Dに錯視させます。作品は、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けていて。あらかじめ記録された映像を再生しているわけではありません。

teamLab, 2021, Interactive Digtal Nature, Sound:Hideaki Takahashi
編集部撮影
《呼応する木々》
木々もそれぞれ自律して光り輝きます。ゆっくりと呼吸するかのように明滅する木々は、《浮遊する呼応するランプ》や《自立しつつも呼応する生命の森》から伝播してきた光に呼応し、色を変え、色特有の音色を響かせます。

teamLab, 2014, Interactive Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
編集部撮影

木々の奥から光が押し寄せてくることで、同じ空間にいる他の人々の存在を普段より意識することになります。
編集後記(記者の感想など)
金堂を覆う圧倒的な「空書」をプレビューで見て、これはどうしても直接見なければと強い思いを抱き、京都に向かいました。チームラボ作品は何度か見てきていますが、やはり世界遺産の中で展開される永遠の光のアートは格別で、まさに、この世に顕現した極楽浄土を体感した思いでした。展覧会は9月19日(日)まで開催。京都を訪れる方はぜひ予定に組み込んでほしい展覧会です。

開催概要:チームラボ 東寺 光の祭 -TOKIOインカラミ
開催時間の詳細、チケット等については公式サイトをご確認ください。
- 名称:チームラボ 東寺 光の祭 -TOKIOインカラミ
- 会期: 2021年8月6日(金)~2021年9月19日(日)
- 休み: 8月20日(金)、21日(土)、9月5日(日)
- 会場: 真言宗総本山 東寺(教王護国寺) 京都市南区九条町1
- ※大宮通沿い「慶賀門」北側よりご入場ください。
- チケット発売日: 2021年7月17日(土)
- 大人: 平日1,600円、土日祝2,200円
- 小中学生: 平日600円、土日祝800円
- 未就学児: 無料
- ※日付指定の入場券になります。
- ※本展覧会では金堂・講堂の中には入れません。
- ※8月13日~16日は土日祝料金となります。
- 主催: チームラボ 東寺 光の祭 実行委員会
- 協賛: TOKIO インカラミ
- 後援: 京都府、京都市、京都市教育委員会、京都市観光協会、京都商工会議所
- 特別協力: 真言宗総本山 東寺(教王護国寺)
- お問合せ:チームラボ 東寺 光の祭 公演事務局
- 0570‐200‐883(平日・土曜11:00~16:00)
アクセス
電車で
- JR 京都駅 八条口出口から徒歩約15 分
- 近鉄 東寺駅から徒歩約10分
- 京阪 丹波橋駅で近鉄 丹波橋駅に乗り換え、東寺駅から徒歩約10分
バスで
- 阪急大宮駅で市バス18、71、207系統乗り換え、「東寺東門前」下車→徒歩約1分
展覧会公式サイト
チームラボ / teamLab
アートコレクティブ。2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、様々な分野のスペシャリストから構成されている。
チームラボは、アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索したいと思っている。人は、認識するために世界を切り分けて、境界のある独立したものとして捉えてしまう。その認識の境界、そして、自分と世界との間にある境界、時間の連続性に対する認知の境界などを超えることを模索している。全ては、長い長い時の、境界のない連続性の上に危うく奇跡的に存在する。
ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、シリコンバレー、北京、台北、メルボルンなど世界各地で常設展およびアート展を開催。東京・お台場に《地図のないミュージアム》「チームラボボーダレス」を開館。2022年末まで東京・豊洲に《水に入るミュージアム》「チームラボプラネッツ」開催中。2019年11月に上海・黄浦濱江に新ミュージアム「teamLab Borderless Shanghai」を開館。2020年6月にマカオに常設展「teamLab SuperNature Macao」ソフトオープン。2021年7月16日から九州・武雄温泉・御船山楽園にて「ボルボ チームラボ かみさまがすまう森」開催。
チームラボの作品は、ロサンゼルス現代美術館(ロサンゼルス)、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(シドニー)、南オーストラリア州立美術館(アデレード)、サンフランシスコ・アジア美術館(サンフランシスコ)、アジア・ソサエティ(ニューヨーク)、ボルサン・コンテンポラリー・アート・コレクション(イスタンブール)、ビクトリア国立美術館(メルボルン)、アモス・レックス(ヘルシンキ)に収蔵されている。
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