美しくリニューアルされた「ピカソ館」に行ってきた(彫刻の森美術館)
彫刻の森美術館が開館50周年を記念し、ピカソ館を全面リニューアルオープン
彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)は開館50周年記念事業として、ピカソ館を全面リニューアル、2019年7月27日(土)より一般公開しました。ピカソ館はパブロ・ピカソ(1881-1973)の作品を専門に紹介するために1984年に開館、319点のピカソ・コレクションを順次公開しています。編集部では先だって開催された記念式典と報道内覧会を取材、同館の魅力を紹介します。
- 取材ご協力:彫刻の森美術館さま、ピカソ館リニューアル内覧会広報事務局さま
- 記事内の写真は全て編集部撮影によるもの。また、美術館内の写真は報道内覧会にて許可を得て撮影しています。本文中の文章、写真等一切の転載、引用を禁止します。
彫刻の森美術館は、小田急線の箱根湯本駅より箱根登山鉄道に乗り換え。スイッチバックを使いながら山を登る電車より景色を楽しむこと約38分で「彫刻の森」駅に到着します。駅から美術館へは徒歩で2分程度です。
彫刻の森美術館は、英語表示での「HAKONE OPEN-AIR MUSEUM」の名前が示すように、1969年に開館した国内で初めての野外美術館。 屋外展示場に近・現代を代表する彫刻家の名作約120点が常設展示されています。 ピカソ館は入り口から約10分ほど歩いた場所にあります。
式典には、世界的デザイナーでもある森 英恵 彫刻の森美術館・館長(左より3番目)、ホルヘ・トレド 駐日スペイン大使(左より4番目)らが参加しました。
トレド閣下は、「世界に誇れる彫刻が野外に展示され、マラガ、バルセロナにあるピカソ美術館につぐ、ピカソ専門の美術館もある。もしピカソが蘇ったとしたらこの彫刻の森美術館の屋外展示場を散策したことでしょう。ぜひ、多くの方に何度も訪れてもらいたい。」とあいさつされました。
1984年に開館したピカソ館。 35年を経た初の全面リニューアルでは、内装と設備が一新されました。床、壁、天井、全てを変更した館内は、自然豊かな箱根らしい、ナチュラルで明るいイメージ。ガラスの存在を感じさせないような高透化ガラスの採用された作品保護ケース、紫外線や熱を出さない最新型LEDによる照明など、作品と、作品を鑑賞する人への配慮と工夫が随所になされています。
テーマ展示「ピカソの挑戦~かたちの変貌」
2019年7月27日(土)より2021年3月(予定)までのテーマ展示「ピカソの挑戦~かたちの変貌」では、ピカソの持つ多様性と変容性、変化を怖れない、そのバイタリティーについて、ピカソ作品103点を含む合計124点の作品を3つの展示室で紹介します。作品の合間にはピカソ自身の言葉が紹介され、万能な芸術家であったピカソの人物像を作品とともに感じることができます。
《イタリアの女》《縞のシャツを着た男》にも注目
黒河内 卓郎・彫刻の森美術館 主任学芸員のお話によると、ピカソは36歳で《イタリアの女》を描いた後、結婚を機にキュビスムをやめますが、75歳の時の作品《縞のシャツを着た男》では、再びキュビスムに変容します。キュビスムと新古典主義をうまく使い分け、常に変わり続けてきたピカソですが、通常の展覧会の企画では時系列で作品を並べることが一般的であり、40年という歳月を一気に飛ばした形で作品を並べ、両者を見比べることができるのは、この展示ならではポイントです。
編集後記(記者の感想など)
リニューアルされたピカソ館の館内は、明るくナチュラルな照明が美しく、トレド閣下も仰るように、まさに建物自体が美術品です。高透過ガラスの使用は、作品が保護ケースに入っていることを本当に忘れてしまうほどです。
ピカソ館は、彫刻の森美術館の入り口から約10分程度、 屋外展示場を散策した先にあります。広大な敷地に点在する巨大な彫刻を観ながら散策するのは、普通の美術館では体験できない実に楽しい時間です。家族連れのお客様が散策を楽しみながら「大人も子供も楽しい!」と仰っていたのが大変印象に残りました。何度も通って楽しみたい美術館です。
彫刻の森美術館
- 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
- 年中無休 開館時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前迄)
- 箱根登山鉄道「彫刻の森」駅下車2分