聖徳太子の表情まで8Kモニターで精緻に鑑賞《デジタル法隆寺宝物館》が開室(東京国立博物館 法隆寺宝物館)
東京国立博物館 法隆寺宝物館にて、1月31日(火)よりデジタル法隆寺宝物館が開室となりました。法隆寺宝物館の中二階に一般公開された同室は、普段は保存上の理由で常時展示することが叶わない法隆寺ゆかりの名宝を、展示室とはまた異なった形での能動的鑑賞ができるという体験型展示。編集部では開室に先だって開催された報道内覧会を取材しました。
法隆寺宝物館
法隆寺宝物館はトーハク館所管の法隆寺献納宝物すべてをまとめて保存・展示する建物として、昭和39年(1964)に開館しました。この旧宝物館では作品の保存上、公開は週1日に限られていましたが、平成11年(1999)に谷口吉生設計による新宝物館が開館、現在は、他の展示館と同様に週6日公開されています。
館内の展示風景
中二階の前に、2フロアに分かれた法隆寺宝物館の展示室を見学。第2室(1階)では、法隆寺献納宝物のうち、6~8世紀までの金銅仏、また同時期の光背、押出仏が展示されています。編集長個人的にもこれはおすすめで、ぜひトーハク行かれる際に立ち寄って欲しいと思っています。
なお展示室は6室あり、第3室(1階)の伎楽面の展示のみ、金・土のみの通年展示とのことです。
中二階 デジタル法隆寺宝物館
ではあらためて中二階のデジタル法隆寺宝物館へ。1月31日(火)開室の同室は、複製グラフィックパネル、そして大型8Kモニターで絵の詳細を精緻に拡大しながら鑑賞できるデジタルコンテンツにより、法隆寺の宝物をよりリアルに体感できる常設展となります。
開室時から半年間のテーマは、法隆寺献納宝物(けんのうほうもつ)である国宝「聖徳太子絵伝(しょうとくたいしえでん)」。かつて奈良・法隆寺の絵殿の内側を飾っていた同作品は、1面約1.9mx横1.5mの画面を横に並べた計10面からなる大画面絵画でした。通常の展示室では、スペースの制約等の事情で横に並べることになりますが、同室では原寸大の複製グラフィックパネルを用い、当時と同じコの字型に配置したものを鑑賞出来ます。
さらに来館者自身がタッチパネルを操作することで、70インチの8Kモニターに表示された作品を拡大してじっくり鑑賞することができます。設置された2台8Kモニターの精緻さは圧倒的で、原品ではよく見えない聖徳太子の表情まで映し出されます。
よみがえる古代芸能「伎楽」の色とかたち
こちらは伎楽で用いられた仮面や装束の本来の色やかたちを、東京国立博物館と文化財活用センターが資料から再現したプロジェクトの展示。
伎楽は飛鳥時代に大陸から伝来したもので、今日では資料から役名を伝えるのみとなってしまった「幻の芸能」。映像資料と併せて鑑賞することでより、ありし日のユーモラスな古代芸能をリアルに感じることが出来ます。なお、こちらも半年毎に展示替えされるということです。
半年毎に展示替え
デジタル法隆寺宝物館は2023年1月31日の開室後半年は、国宝「聖徳太子絵伝」(東京・国立博物館蔵)、そして8月1日からは「法隆寺金堂壁画」(奈良・法隆寺蔵)をテーマに展示するということです。
編集後記(追記など)
東京国立博物館の正門から左方向、表慶館の横を抜けた先が今回取材した法隆寺宝物館です。1階にはホテルオークラ ガーデンテラスが入っており、特別展と庭園開放の開催のない期間は予約もできるということです。特に年間パスをお持ちの方は、2001年には建築学会賞を受賞した同館で、飛鳥時代へと思いを馳せながらのカフェタイムを是非楽しんで頂きたいと思いました。
リソース
- 取材ご協力:文化財活用センターさま、東京国立博物館さま、デジタル法隆寺宝物館広報事務局さま
- 記事中の写真および動画はすべて編集部による撮影(報道内覧会)
デジタル法隆寺宝物館
- 名称:デジタル法隆寺宝物館
- 会場:東京国立博物館 法隆寺宝物館/中2階
- 会期:2023年1月31日(火)開室 以降は通年展示 ※半年毎に展示替